念願の当事者デビュー!
- 5 日前
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2026年2月28日、令和7年度休眠預金事業の成果報告会を開催した。全体の成果報告会を2月17日に終えたばかりで、年度末の慌ただしい中、法人独自の成果報告会は取りやめようとも思った。しかし、2年間実施したこの事業の成果を一人でも多くの方に知らせたい、と同時にこの事業に参加して下さった多くの皆さんに感謝の意を捧げたいという気持ちから実施することになった。
思えば3年前、「まりやハウス風の家」のお別れ会開催中に、資金分配団体となる予定の方たちが来て、休眠預金の説明を行い、ぜひエントリーして欲しいと言われた。 その時は休眠預金の何たるかも知らず、「まりやハウス風の家」の終了に伴い、次の事業を模索中だったので、渡りに船とエントリーすることになった。それが「みらいシンシア」事業で、若年ママに運転免許を取得させるために、母子を入居させ、食事を提供し、子どもを預かり、運転免許取得に専念させるという一体型母子自立支援施設を創ることであった。
この事業は、2022年に実施した県の「子ども未来応援基金」を活用して、6名の若年女子に自宅から通所で運転免許を取得させるという事業から学んだことである。たとえ30万円の費用を準備しても、子どもの預け先の確保、免許取得中の生活費の確保、親子が安心して生活できる部屋の確保等課題が山積しているという事がわかった。
そのことを踏まえて考えたのが親子を丸ごと預かり、自立に向けて支援するという「みらいシンシア」であり、それは韓国にあるという未婚の母親の自立支援施設「愛蘭院」をモデルにしたものであった。そして、多数の応募者の中から、休眠預金事業の実行団体として選定され、2年間継続して実施できたことは大きな喜びであり、感謝しかない。
この事業の実施に伴い、憧れの韓国にある「愛蘭院」も視察でき、アンケートを実施して若年シングルマザーの生活実態を浮き上がらせることもできた。そして何よりも当事者の若いママたちが運転免許を取得し、自己肯定感が高まり、自信に満ちて就職し、車を手に入れ、中には通信制の高校へ進学し、そして念願の親子で生活できる住居も手に入れるという、素晴らしい「正の連鎖」を見せて貰った。
また新たな発見もあった。その一つが若年シングルマザーの特技を発見したことで、それは、同年齢の誰よりも育児が得意ということであった。その特技を生かせば、就職先も自ずと決まり、そして「正の連鎖」が起こってくるという事がわかった。これまで、「負の連鎖」ばかりを見てきたが、初めて「正の連鎖」を見せて貰った。そして、その言葉を思いついたのも、彼女たちのお陰である。
最後の成果報告会で、どうしてもやりたいことがあった。それは、この事業を始めてからずっと胸に秘めていたことで、何とかして彼女たちを表に出し、運転免許を取得した喜びを堂々と皆に伝えて貰いたいと思っていた。しかし、これまで彼女たちが何をするにしても、彼女たちの顔にはモザイクがかけられ、なぜ悪いことをしているかのように顔を隠さなければいけないのかと思っていた。
それが韓国に行ってその疑問が払しょくされた。韓国では、全てのシングルマザーは堂々としていて、ひとり親世帯の日もあって、皆で集まってイベントをするということであった。そして、韓国の「愛蘭院」がここまで発展したきっかけは、設立当初の若年のシングルマザーたちが顔出しして、国会議員の皆さんに実情を訴えたことから始まったと聞いた。
まさにその通りだと思い、今回運転免許を取得したママたちに勇気を出して声をかけてみたところ、「やります」と何の抵抗もなく、一発返事でOKを貰った。そして、堂々と皆の前で免許を取るまでの経緯、取るための頑張り、そして取得後の喜びとこれからの計画を堂々と述べていた。それを見て、私たちのこの事業の一番の成果は、彼女たちの顔出しデビューではなかったかと、涙腺が緩み、胸がいっぱいになった。




