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映画「遠いところ」から見えてくるもの~そして今なにをすべきか~意見交換会

 ~ 意見交換会を終えて記念撮影 ~ 
 ~ 意見交換会を終えて記念撮影 ~ 


 

 2023年11月30日


 2023年6月、映画「遠いところ」が沖縄で全国に先駆け先行上映された。この映画は沖縄市のコザを舞台に若年母子の生活を描いた映画であるが、とても映画とは思えない沖縄の若年母子の実態を描いたドキュメンタリーではないかと思われる内容であった。映画を見た多くの県民が衝撃を受け、「何とかしたい」「何をすればよいのか」という声が法人へも届いていた。

 

 そのような最中、日頃から私たちの活動に協力頂いているKPG HOTEL&REZORTの田中正男社長と糸数萌夏主任が訪ねてきて、映画を見て衝撃を受け、「私たちができることは何かないか」と話された。それで、多くの人が心を動かされたこの映画を一過性のものにしてはいけない。多くの県民がこの映画を見て、どのように感じたのか、そして何かしたいが何をすればよいのかわからないという気持ちを大事にして、その県民の意見を聞く意見交換会をしたらどうかということになり、共催での「意見交換会」の開催が決定した。

 

 意見交換会には、広く県民の声を拾うため、パネリストに自治体の首長として浦添市松本哲治市長、タレント代表としてひーぷー(真栄原仁)さん、嘉数ゆりさん、貧困の子どもや女性を支援しているタコライスラバーズの山川崇徳さん、女性を元気にする会のゴージャス理枝さん等幅広い視点から意見を頂戴することにした。日頃、タレントとの接触は殆どない中で、このようなメンバーを揃えることが出来たのは、田中社長のお陰である。


 意見交換会は3部構成で、まず東京からお招きした①工藤将亮監督による特別講話、次に②パネリスト・会場からの映画を見ての感想、そして最後に③「私たちは何をすべきか」というテーマに沿って話し合うとことにした。全ての内容を紙面の都合上掲載することはできないが、ぜひこれは残しておきたいという内容を記載する。


 ①    工藤監督は、自身の母親もシングルマザーで、自分を育ててくれたのは母方祖母であり、家族の現風景がこの映画を作る理由の一つだった。映画のラストシーンは辛いエンディングなので変えた方が良いという意見もあったが、観客が「考える」エンディングにしたかったと話された。そして、この会を開催してくれたことで、この映画の先の現実まで行けたと思っていると述べ、その後は皆さんに託したい。少しでも未来の子ども達のために役立てて欲しいと付け加えた。

 

 ②    「映画を見ての感想」

・ひーぷーさんは、「周りの誰も助けてくれない状況にもどかしさを感じた。エンターテインメントは0を1にする力があると思っている。これは1にする映画だと感じた。明日から急に変わるという変化ではなく、0.1少しでも変わってくれたらなぁと期待している。」

・山川さんは「自身が警察官をしていた頃に出会った人たちを取材したのかと思った。警察官だった頃は一般の人の非日常が日常だった。今は警察官を離れ、非日常だと感じるが、この映画を通して立ち返る機会になった。工藤監督に感謝したい。」 

・嘉数ゆりさんは、「映画の中のおばぁが主人公のことを沖縄の恥だと言ったことがとても苦しかった。そういう環境に生まれていることは変えられない。私は子どもの頃に母がヒステリックに怒っていたことを思い出した。今は子育ての大変さを理解出来るが、当時は母の気持ちが分からなかった。親の背景をみることが大事だと思う」

 

③  「私たちは今何をすべきか」

・松本市長「信じていい大人がいるとという事を知ってもらういい機会だと思う。それから行政に繋がるのも必要。また、行政で行う政策としての手段、子どもや女性への政策(支援)は沢山あると思うが、行政などの政策的でなく、実際に何が出来るのか今一度考える必要がる。」                         

・ゴージャスさんは、「日々精一杯生きている人が沢山いて、周りの情報を見る余裕がない。話を聞いてあげる、自分の事を心配している人がいるっていう事を伝えることで自分に気が付いてくれたと感じてくれる。」                           

 ④  会場からの声やアンケート 

 ・会場からの声を頂戴したいと司会がアナウンスすると同時に、会場から一斉に手が上がった時は、こんなにも真剣にこの問題を考えて下さっている方がいることに心が震えた。そして、アンケートからも幅広い意見を聞くことが出来、このアンケート結果を令和5年11月2日に沖縄県生活福祉部長へ持参し、報告した。


《 意見交換会を終えて 》

  

 沖縄の若年母子の問題は今に始まったことではなく、復帰50年経った今も復帰前から何も変わらないこの現実を、私たちは見ようとしてこなかった。これ以上、全国の2倍いる沖縄の若年母子を放置して欲しくない。この映画は沖縄の若年母子の実態がリアルに描かれていて、彼女たちだけの力で山積している問題を解決することはできない。幸い、この映画により多くの皆さんがこの問題を何とかしたい、他人事ではなく周りにいる彼女たちに気づくことや声をかけること、そして勇気を出して手を差し伸べることをしたいと問題を共有できたことは大きな収穫である。様々な意見が寄せられたことで、勝手にも私たちは今まで繋がることが出来なかった来場者の皆様と仲間になれた気がし、大きな勇気を貰うことが出来た。解決すべき課題は山積しているが、頂いた意見やアンケートに託された思いを行動に繋げるべく、これからの私たちの道標として今よりも一歩ずつでも前進しながら進んでいきたい。

  

 

 
 
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