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韓国の先進的母子自立支援施設視察報告~ 憧れの「愛蘭院」を中心に ~  

更新日:10月3日

2024年9月24日~27日まで、休眠預金事業を活用し、念願の韓国の母子自立支援施設4か所を職員3名で視察に行くことが出来た。きっかけはその前年、映画「遠いところ」の意見交換会を開催し、その映画を見た多くの県民と同様に、私たちも若年母子の為に「何かしたい」「何かしなければならない」という強い思いに駆られ、その答えが韓国の愛蘭院にあるということで、行くことになった。


 しかし、韓国に誰も知り合いもいず、行ったこともない場所に行くということは無謀であったが、幸い強力な助っ人が現れ、韓国語の通訳は元より視察先の施設との調整等全て行ってくれる方が現れた。韓国在住の日本の大学院に留学している方で、ちょうど休みに当たり私たちの視察旅行を全て案内してくれることになった。

 

 視察先は、1.ソウル市ひとり親家族センター、2.ドングァン母子院、3.韓国未婚母支援ネットワーク、4.愛蘭院の4施設である。簡単に施設の紹介と視察風景を紹介したい。


1.ソウル市ひとり親家族支援センター

 2009年に設立され、ソウル市のひとり親家族を支援する施設である。ソウル市より委託され、仏教財団が運営している。特徴としては、①母子家庭だけでなく、父子家庭も支援  対象、②仏教財団ということもあり、「テンプルステイ:寺院に滞在しながら自然を感じ、自身を労り、癒しの時間をつくること」を行っている③ソウル市ひとり親支援センターの卒業生と在校生の交流がもたれている。④学習支援に注力し、就労支援に繋げている。⑤資格取得支援を行っている。⑥境界知能についての支援(今年8月からの事業)実施。


ソウル市ひとり親家族支援センターの 入口
ソウル市ひとり親家族支援センターの 入口
ソウル市ひとり親家族支援センターの皆さんと
ソウル市ひとり親家族支援センターの皆さんと
お互いの事業内容について説明し、意見交換を行う。
お互いの事業内容について説明し、意見交換を行う。
歓迎して頂き、ランチも御馳走になりました。イ ヨンホ センター長と山内代表理事。
歓迎して頂き、ランチも御馳走になりました。イ ヨンホ センター長と山内代表理事。

2.ドングァン母子院

 日本の母子生活支援施設と同様な施設である。韓国内に60カ所存在し、80%は朝鮮戦争後に設立された。施設にはロシア人、ベトナム人の方もいる。入居者は現在16世帯38名で母親16名、子ども22名である。特徴として、①入所要件として、精神疾患・知的に問題がないか心理検査等と行っている(国からの予算200万円)②入所期間は5年間、

1年延長を2回できるので、最長7年間は入居できる。③施設内プログラムは義務的なものとして安全教育、親教育、性教育、処方教育があり、適宜情緒プログラム、心理プログラムが実施される。④高卒認定の支援:国の認定を受け、高卒認定を受けるため3年間学校へ通い、勉強している。⑤退所後は国の支援として、LHという公営住宅を利用し自立していく。

  

設立から70年経過した施設はリフォームされており、室内はとてもきれいだった。
設立から70年経過した施設はリフォームされており、室内はとてもきれいだった。

 


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3.韓国未婚母ネットワーク

 サービス特徴:①通報性/内密出産に対応 ②認識改善プログラム ③住宅支援(緊急・自立支援住宅)④トライアングル事業 ⑤借金を背負っている相談者への対応 ⑥現品支給(オンライン決済)について ⑦境界知能(知的に遅れがみられる)方の支援 

 

 

入居者がいたので施設の内覧はできなかったが、予定の時間を超えて話を聞かせてもらった。           ご対応頂いたユーミースック局長と。
入居者がいたので施設の内覧はできなかったが、予定の時間を超えて話を聞かせてもらった。           ご対応頂いたユーミースック局長と。

 

 

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4.愛蘭院

 1960年アメリカ人のパンエラン氏が設立。キリスト教財団が運営主体を行っている。施設ミッション:生命・母性・家族に優しい社会の実現。4回建ての建物に調乳室や託児室、プログラミングなどを完備し、24時間体制で母子を支える。妊娠中から預かり、将来的に母子が自立できるようにすべての母親に高卒の免許を取らせ、中には大学までいくことも可能で、地域社会で自立できるよう資格取得にも力を入れている。

「組織図」①韓国危機妊娠・出産センター ②危機妊婦の家 ③韓国片親家族福祉相談所 ④妊娠から出産までの支援 ⑤自立に向けての支援を実施。

 

 

 


住宅街の一角にある「愛蘭院」
住宅街の一角にある「愛蘭院」

 

施設内には保育室も完備されており、子どもを預けることができる。
施設内には保育室も完備されており、子どもを預けることができる。

 

居室に近い場所に給湯室が用意され、ミルクを作る際などに利用する。
居室に近い場所に給湯室が用意され、ミルクを作る際などに利用する。

 

入居者はきれいな食堂で温かい食事を食べることが出来る。体調不良時は自室まで食事が運ばれる。
入居者はきれいな食堂で温かい食事を食べることが出来る。体調不良時は自室まで食事が運ばれる。

パソコンやベビーカーが並ぶ共有スペース。入居者は自由にパソコンを使う事ができる。
パソコンやベビーカーが並ぶ共有スペース。入居者は自由にパソコンを使う事ができる。
共有スペースでは勉強もすることが出来る。また、施設内には教室も完備され、公立学校の教師が指導する。
共有スペースでは勉強もすることが出来る。また、施設内には教室も完備され、公立学校の教師が指導する。

「危機妊娠・出産支援センターについて」


・愛蘭院の自主事業で運営

・電話対応を24時間体制で行っている。

・若年、外国籍の支援体制がある。・若年相談では電話相談での解決が難しい。




危機妊娠・出産支援センターにて カンヨンシル代表を囲んで。
危機妊娠・出産支援センターにて カンヨンシル代表を囲んで。

 

 

面談用の相談室、その他電話対応の部屋もあり充実した設備だった。
面談用の相談室、その他電話対応の部屋もあり充実した設備だった。

 

 

5.まとめ 「 韓国は進んでいました! 」                    

  〇ひとり親世帯に対する理解が進んでいました! 

   (認識改善プログラム実施)       

  〇愛蘭院の先駆的取り組み                      

   (利用者の女の子たちが顔出しして、私たちに時間を下さいと国会議員へ訴えた)    〇社会全体でひとり親を支える仕組みを実施                 

   (5月10日ひとり親の日、5月11日養子縁組の日)

  〇施設と企業との密接な連携                        

   (企業から施設へ直接求人)

  〇沖縄のすべての市町村にシングルマザーはいる。


沖縄版の愛蘭院のような施設が必要で、ぜひ行政で作って欲しい。

 

 
 
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